2019年1月9日 5:13 PM

『第85回理学療法通信』

「認知症について(2)」

前回は、認知症のタイプについてご紹介しました。今回は、失禁や歩行障害、記憶力の低下などの認知症と似た症状が出現しても、治療を行うことで認知症状が軽減する「治療可能な認知症」についてご紹介したいと思います。

★治療可能な認知症

■ビタミンB1B12欠乏症

アルコールを沢山飲みすぎていたり、食事が充分に摂れていない場合、身体に必要なビタミンが不足してしまうことで、起こります。

●ビタミンB1欠乏症

脚気(しびれ・むくみ・血圧低下・心臓肥大)、ウェルニッケ脳症(せん妄・歩行障害・眼球運動障害)などの症状がみられます。

●ビタミンB12 欠乏症

高齢者(胃酸の分泌が低下しやすい)や手術で胃を切除した場合など、ビタミンB12 が吸収されにくくなります。症状は、貧血やせん妄、意識障害などがみられます。

【改善方法】ビタミンを摂取する事で改善されます。

ビタミンB1を多く含む食品:豚肉・うなぎ・たらこ・ナッツ類

ビタミンB12を多く含む食品:豚レバー・鶏レバー・牛レバー・うなぎ・牛乳

 

■正常圧水頭症

●脳脊髄液が脳室に溜まり、脳室が拡大して周囲の脳が圧迫されて起こるものです。特徴は、尿失禁や歩行障害(すり足)が見られます。

【改善方法】手術により髄液を抜くことで改善します。

 

■硬膜下血腫

●転倒や外傷により、脳を覆っている膜(硬膜とくも膜)の間の静脈が出血し、血の塊(血腫)が脳を圧迫して起こるものです。

【改善方法】血腫が小さければ自然に吸収されますが、血腫が大きい場合には手術にて血液を吸引することで改善します。

 

■甲状腺機能低下症                         

甲状腺ホルモンの分泌量が不足して体の活動力が低下するものです。症状として、食欲がないのに体重が増加する、浮腫み、皮膚の乾燥や寒がりなどがみられます。

【改善方法】甲状腺ホルモンを補充することで改善する

 

※せん妄:意識障害の1つで、不安・イライラ・不眠・興奮して暴れる・幻覚などの症状が出現する。また、夕方から夜間に見られやすい。

 

 

日常生活の中で、認知症と似た症状がみられるが、受診せずに放置してしまうと、症状を長引かせてしまうこともあります。「治療可能な認知症」なのかどうかを判断するためにも、症状がみられた時に、できるだけ早期に受診することが大切です。また、日常生活の生活状況をしっかり医師に伝えることで、「治療可能な認知症」であるのか「認知症」なのかを医師が判断しやすい貴重な情報となるため、病院へ受診した際には、身近な人が状況をできるだけ細かく伝えることも大切です。

 

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