2019年11月6日 7:21 AM

『第92回理学療法通信』

糖尿病予防について(1)

糖尿病予防について話を進めるにあたって、今回は、糖尿病とはどういうものなのかを簡単にご紹介したいと思います。

■はじめに

通常、私達は食べ物を食べてそれをエネルギーに換えて体を元気に動かしています。少し、詳しく説明すると、炭水化物(ブドウ糖のかたまり)が体に入って消化されると、肝臓で分解し、血液中に流れ出て、筋肉や脂肪、その他の細胞に栄養素がエネルギーとして取り込まれます。ブドウ糖が細胞にエネルギーとして取り込まれるためには、「インスリン」というホルモンが重要な役割を果たしており、インスリンの働きが悪いと栄養素は、細胞に取り込むことができなくなります。

 

インスリンの仕事

インスリンは、胃の裏にある膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島という組織のβ細胞(ベータ細胞)から分泌されています。インスリンの主な仕事は、食べ物として取り込んだブドウ糖を肝臓・腎臓・筋肉・脂肪などの細胞に取り込めるように働きかけてくれるものです。しかし、このインスリンの分泌量が少なかったり、その働きが悪いと、ブドウ糖を細胞に取り込むことができず、血液中に「糖」が増えてしまいます。この状態を「高血糖」といいます。インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンでもあるため、インスリンの働きが悪いと血液中に糖が沢山ある状態になってしまいます。

 

糖尿病ってなに?

糖尿病とは、このインスリンの分泌不足や働きが悪いことによって、血液中のブドウ糖が異常に増え、それが慢性的に続いている状態のことをいいます。

 

■血糖値が高い状態だと何が悪いの?

血糖値が高い状態が長く続いてしまうと、様々な合併症(動脈硬化・心筋梗塞・肝硬変など)が進みます。

また、糖尿病と診断され、血糖値が高い状態が長く続き、血糖値を下げたりすることができないと以下の重篤な障害をもたらします。

★糖尿病の3大合併症

・糖尿病性神経障害(痛みを伴う感覚異常)

・糖尿病性網膜症(視力低下や視野狭窄、最悪の場合失明)

・糖尿病性腎症(腎機能低下、悪化すると透析)

 

糖尿病の検査はどういったものがあるのでしょうか?

初回に血液検査を実施し、血糖値を測定します

空腹時に検査するものと、時間を指定しないで血糖値を測定するものがあります。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

HbA1cとは、過去1~2ヶ月の血糖値の平均を反映するもので、日頃の血糖の状態を

みるための目安となるものです。

75g経口ブドウ糖負荷試験

空腹時の採血と同時に75gのブドウ糖を水に溶かしたものを飲み、30分、1時間、2時間後に採血し血糖値を図るものです。

★自覚症状の確認

口渇、多飲、多尿、ダイエットしてないのに体重減少

医師に糖尿病性網膜症と診断されたことがある場合

自覚症状は、目がかすむ、視力低下、飛蚊症(蚊が飛んでるように見える)、視野に墨がかかったように一部が黒くなる、視野狭窄などがあります。

 

これらの検査結果を組み合わせて、それぞれが糖尿病型の基準値となれば「糖尿病」と診断されます。

※ 今回は、糖尿病の基準値については、話が難しくなるので省かせて頂きます。

 

糖尿病の種類

1型糖尿病(すい臓のβ細胞の破壊によるインスリン分泌不足が主な原因)

・特に小児や若い人にみられる

・急激に症状が出て、糖尿病になることが多い

・すい臓のランゲルハンス島のβ細胞の破壊によるインスリン分泌不足が主な原因

・やせ型が多い

2型糖尿病(インスリン分泌不足と食べ過ぎなどの肥満により脂肪の蓄積などが原因)

・中高年に多い

・症状がでないこともあり、気が付かないうちに進行する

・肥満型も多いが・やせ型の方もいる

・生活習慣(食べ過ぎや運動不足)や遺伝的な影響によるインスリンの作用不足

妊娠糖尿病

妊娠中、胎盤のホルモンによりインスリンが効きにくくなり、食後の血糖値が上がりやすくなります。多くの場合、高い血糖値は出産後に元に戻りますが、妊娠糖尿病を経験した方は将来、糖尿病になりやすいと言われています。

 

以上、糖尿病について簡単にご紹介してきましたが、糖尿病の中でも、2型糖尿病については、食事や運動など生活習慣の見直しによって予防することができます。そのため、次回は、2型糖尿病について少し詳しく説明していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

コメント

コメントはまだありません。

コメントする

先頭へ戻る