2018年9月27日 12:02 PM

『第82回理学療法通信』

『(前編)転倒予防:足にも注目!!』

若いときには転ばなかったのに、年をとると転びやすくなるのはなぜでしょう。理由は、運動不足はもちろんですが、体のさまざまな部分が無意識にタイミングよく働かなくなってしまうためです。少し難しい言葉を使いますが、転倒しそうになり「あぶない!」と思った時に視覚・バランス感覚・筋・神経など様々な要素がタイミングよく反応できるかどうかが大切です。転ぶ寸前に手が出たり足が出たり、体の一部が反応し転倒しないようにブレーキをかけることが出来れば転倒は防ぐことができます。当たり前ですが、寝ていれば、転倒はしません。ヒトは立ったり、歩いたりして生活するため、転倒します。今回は、ヒトが立っているときに唯一地面に接している足部の機能改善について前編と後編に分けてご紹介していきたいと思います。

 

■足の骨のカタチを知りましょう

足部の骨は、大小合わせて26個で構成されています。足部の骨の構造から、指先の方は細かく小さい骨でできており、踵側の骨は大きく太い作りになっています。その骨の構造などにより、普通に立つと重心(体重)は指先よりも踵に乗りやすくなります。立った姿勢でヒトが後ろに転ばないのは、全身の筋肉が常に緊張したり緩んだりしながらバランスをとっているためです。

 

 

■足は土台

足部は、体重を支えたり、歩いている時の衝撃を吸収するなどいろいろな役割を果たしています。また、転倒しないように全身のバランスをとるための土台でもあります。足部には、足弓(以下:アーチ)と呼ばれるカーブがあります。 いわゆる土踏まずなどのアーチは、生まれたときは低く未完成ですが、成長と成長過程の運動にともない足のうらの靭帯と筋肉によって高さを維持するようになります。このアーチがないと重心の位置が定まらず転倒してしまいます。そのため、アーチの機能を維持し高さを保つことは転倒予防につながります。また、アーチの高さが高いほど足の指の筋肉が動かしやすくなるため、アーチの高さ(機能)を保つことはとても重要なことなのです。

 

■足のアーチは3つある

足部のアーチは全部で3つあり、縦に2つ(内側・外側)横に1つあります。親指側の内側のアーチは、歩く時の推進力に働き、外側のアーチはバランスや支持性に働きます。横のアーチは、歩くときに衝撃を吸収したり、足を地面に密着させるための役割があります。

 

■足の機能を蘇らそう!!

特に高齢者になると運動不足や活動量の低下などにより足部全体が硬くなり、足首や足の指などの動きが鈍くなります。足首はもちろんですが、足の指の動きが制限されてしまうと、足の踏ん張りが利かなくなり、転倒につながります。そのため、まずは足を柔らかくしてしっかりと踏ん張れるように心がけることが大切です。次回は足の運動と足のケアの仕方についてご紹介します。

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