「なぜヒトだけが老いるのか」
社会福祉法人富士会
理事長 深谷憲夫
暑中お見舞い申し上げます。数年来のコロナ感染防止対応では大変なご心配をお掛けいたしました。御礼申し上げます。今後とも宜しくお願い申し上げます。
今回は「 なぜヒトだけが老いるのか 」を生物学者の著書を参考に纏めてみました。ご参考になれば幸いです。
ヒトが老いる理由
- 社会的必要性:
ヒトは社会的な生き物であり、集団で生活することが進化の一部として重要でした。ヒトの長寿は、子育てや知識の伝承など、集団の結束力によって支えられてきたと考えられます。その中で老いが発生してきましたが、長寿(寿命)延長を作り上げました。
- DNAの傷が原因:
老化の主な原因はDNAの傷の蓄積です。加齢と共に細胞の分裂回数が増えるため、DNAの傷が蓄積し、細胞の機能が劣化します。これにより、個体全体が衰え、老化が進行しました。
- 細胞の供給能力の低下:
老化は幹細胞の老化によるものもあります。幹細胞が供給する新しい細胞が減ると、組織の機能が低下し、老化が進行します。
- 脳と心臓の機能低下:
老化が特に問題となる臓器は「脳と心臓」です。これらの臓器の細胞は生後間もなく増殖を停止するため、老化後の修復が難しく、機能が低下しやすくなります。
- 遺伝子の壊れやすさが原因:
「進化のプログラム」により、生物はある程度の寿命を持つように遺伝子が組み立てられています。「老化」は進化のためにある必然的な「プロセス」です。避けては通れません。
ヒトの寿命と社会の役割
ヒトの寿命は本来55歳:遺伝情報の壊れやすさや癌の増加などにより、ヒトの寿命は55歳ぐらいが適切とされています。現代では医療や栄養の進歩により寿命が延びたものの、癌との戦いがヒトの寿命に大なる影響を与えています。癌征圧で120歳は期待できそうです。それでも皆様のようなシニアは長寿社会において重要な役割を果たしてきました。集団の結束力を高める役割や経験を生かした貢献があることから、シニアの活躍は寿命延長に貢献してきたとされます。
「進化プログラム」に於いて、長寿なシニアは「長寿の遺伝子」を受け継がれ次の時代へ貢献する大きな役割を果たしてきています。シニアの中でも超高齢者様自身は社会への役割をこの様に説明します。物質主義から超越的な世界観へと変化し、他者への感謝や利他的な行動が増える傾向があります。このような心理状態は幸せを感じる要因とされています。
不老長寿への取り組み:
1)生命科学分野の対策:
DNAの修復能力を高める研究や老化細胞の除去による寿命延長の研究が進行中です。これらの研究が成功すれば、寿命を限界まで延ばすことが期待されます。勿論癌細胞の除去も入ります。
2)社会生活分野の対策:
集団生活においてシニアの役割を重視し、健康な生活を維持できるような環境づくりが重要です。多様性を許容する社会的環境を作り、シニアが社会において活躍できるような取り組みが求められます。
更なる「老い」を感じたら:
老化をネガティブに捉えず、自分の経験や知識を次世代に共有し、社会に貢献することを考えるべきです。楽しく生きることと、周囲と共感し合うことが重要な要素となります。
老いに対して否定的な考え方ではなく、ポジティブな視点で老化を受け入れ、社会に貢献し続けることが大切だと示唆されています。
終わりに、私から一言 お願い申し上げます。
次なる最良の「進化のプログラム」へ組み込まれます様に、 健康に十分な注意をされ、「有意義な時間」をお過ごし頂きますよう、お願い申し上げます。
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